今月のおはなし会📖

気がつけば、今年もあと一週間。

1年で一番、街中が彩りと音に溢れる季節ですね。

今年は1月を最後に、おはなし会を中断しておりましたが、年の瀬になってようやく再開することが叶いました。

寒くても心がほっこり温かくなる、この季節にぴったりなおはなしがたくさん聞けましたよ。

 

12月4日㈮は、久々の『あかちゃんタイム』です。

色んな色を目で楽しんだり、「ぽんぽん」「ぱんぱん」といった音で言葉の響きを感じたりしました。

お家でもできる手遊びも、お母さんと一緒に楽しんでもらいました。

『あかちゃんタイム』は、小さなお子さんたちの時間です。

感染対策も入念に行っておりますので、安心してご参加ください。

 

12月13日㈰は、『すまいりぃ』による ‟絵本とあそうぼう” です。

小さな子から、ちょっとお姉ちゃんまで、定員いっぱい集まってくれました。

まずはリクエストの本から。

大好きなおはなしは、何度聞いても楽しいもの。みんな、目がキラキラしていましたね。

クリスマスやお餅など、今の季節にぴったりなおはなしを聞いた後は、体も動かしました。

色んな動物になりきって、ジャンプしたり四つん這いになったり、最初から最後まで、笑い声が絶えないおはなし会になりましたね。

 

12月19日土曜日は、『さぬき語りの会』によるおはなし会です。

今回は、少し大きなお子さんたちが集まってくれました。

クリスマスのおはなしの後には、ストーリーテリングを楽しむことができましたよ。

ストーリーテリングは、絵本も台本も持たず、「語り」だけで物語を紡ぐおはなし会です。

初体験の「ストーリーテリング」にみんな最初は緊張した面持ちでしたが、次第に物語の世界に引き込まれていき、お子さんたちだけでなく、一緒にいた親御さんたちも楽しんでくれました。

 

実に11カ月ぶりのおはなし会でしたが、久々に子どもたちの笑い声が館内に響き、物語によって引き出された、たくさんの笑顔が花開きました。

おはなし会では定員を設け、マスクや消毒、そして十分な距離を保つなど、感染症対策を実施したうえでの開催になっております。

皆さまのご参加をお待ちしています。

 

 

 

 

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第8回 ブログ版 農業講座「稲を食べる虫と農薬のはなし」

夏から秋へ、そして徐々に秋が深まりながらゆっくりと冬へ…

というのが、四季の美しい日本の気候だったはずなんですが、

このところ、夏がいつまでも暑さを引きずり、少しだけ秋の気配を感じたかと思うと、

突然、冬将軍が襲いかかって来る! といった感じの気候になっていますよね。

ここ数日は、「寒さの底」とも言えるほど冷え込んでいますが、体調を崩さないように気をつけたいですね。

さて、本日も農業講座のお時間でございます。

講師はお馴染み、農業の達人・豊嶋和人さんです。

【稲を食べる虫と農薬のはなし】

稲作を体験できる『天穂のサクナヒメ』というコンピューターゲームが人気なんだそうです。わたしは持ってないので遊べていないのですが、天候や、施肥、水管理などの作業と病害虫の発生や稲の出来がリアルに結び付けられていて、実際の稲作の技術書がちゃんと参考になるとか。へーっと思って攻略サイトなどを見てみると確かによくできています。害虫だけでなくそれを食べる益虫や蛙も要素に含まれているのがいいですね。

少しおやっと思ったところがあります。ゲームの舞台は近世の日本っぽくて化学農薬も化学肥料もないんですけど、ゲームに出てくる害虫はじつに現代的なのです。

まず椿象(カメムシ)による斑点米の存在です。これは長い稲作の歴史のなかでもここ数十年の問題といっていい現象です。収量が少なく飢饉が頻繁に起きる時代には米につく黒い斑点など誰も気にしないでしょう。実際「斑点米」で論文検索してみますと、お米に量より質が求められるようになった1970年代以降に大きく学術論文数が増えています。

ブログの第三回で少し紹介しました桐谷圭治先生の研究によりますと、耕作放棄地のイネ科雑草を餌にしたカメムシの増加が斑点米問題を大きくしているのだそうです。耕作放棄地の増加も70年代からですね。また、香川県ではここ10年ほどのあいだに、前回も少し話題にしました温暖化によって斑点製造能力の高いミナミアオカメムシがひんぱんに見られるようになりました。

(第3回ブログより、ブロッコリーにつくカメムシ:本人撮影)

 

もう一点は、二化螟蛾(ニカメイガ)がいないことです。ニカメイガは茎のなかに幼虫が入る虫で、ウンカ類とならび長らく稲作最大の害虫でした。が、ちょうど斑点米カメムシと入れ替わるように退場します。その原因はいくつかあるようです。品種改良によって稲の茎が細くなった、土壌改良資材のケイカルの施用により茎が固くなった、あるいはコンバインによって茎が細かく切り刻まれるようになったなどが考えられています。

決して第二次大戦後に発達した化学農薬によって急激に減少したわけではありません。むしろ、化学農薬に対して抵抗性をつけやすい、殺虫剤に強い虫でした。

1960年の夏、香川県中西部の農民が何台ものバスに分乗して県庁に押しかけるという事件が起こります。ニカメイガに使用した農薬、パラチオンが効かずに被害を受けているがどうしてくれるのかと抗議にやってきたのです。粗悪品を売りつけたのではないかと怒る農民もいました。

これは県だけでは収集がつかないと、国の研究所も一緒になってこの年使ったパラチオンの成分を調べますが、粗悪品ではありませんでした。虫がパラチオンに対して抵抗性をつけていたのです。原因は香川県中西部の農民の熱心すぎる防除でした。当時は化学農薬の種類も少ないため、よく効く最新のパラチオンをみんなが使います。香川県の1戸あたり耕作面積は狭く、少しでも収量を上げるため、争うように使用した結果がパラチオンの効かないニカメイガの発生でした。

実際、当時の研究によると、香川県中西部一帯のパラチオンの使用量は他の地域より多かったのです。そして、多い地区ほどそこにいるニカメイガのパラチオン抵抗性は高かったことがわかっています。今の目線から眺めると、農薬のやりすぎよくないねとなるのですが、当時は先述したような食料事情や耕作面積の問題がありました。化学農薬導入前にはニカメイガの防除には誘蛾灯が使われていましたが、讃岐平野には25万燈もの誘蛾灯が灯っていたそうです。これは全国的にも大変多い数でした。

善通寺市に農林省四国農業研究所(現在の農研機構西日本農業研究センター四国研究拠点)が設置されていて、パラチオンの前に使われていた殺虫剤BHCが善通寺市内の実際の圃場で大規模に試験されるなど、化学農薬の威力を身近に経験していたことも化学農薬に対する信頼につながったのでしょう。パラチオンの効果を日本ではじめて確認したのも四国農業研究所でした。当時、抵抗性害虫の問題は一部の研究者が危惧する程度だったようです。

この讃岐のパラチオン騒動によって、はじめて日本で抵抗性害虫の問題が大きく採り上げられるようになりました。また、パラチオンは残留性は低いものの、作業中の中毒事故が多発するような、今の殺虫剤と比較にならないほど急性毒性の高い殺虫剤でしたから、それが虫に効かないとなれば低毒性の殺虫剤への切り替えも加速しました。

60年前の讃岐平野の騒動は日本の殺虫剤の歴史を変えた…と結べることができれば美しいのですが、今年の水稲に大きな被害をもたらしたトビイロウンカをはじめ抵抗性害虫の問題は近年さらに深刻化しています。その話は長くなるので割愛しますが、60年前の教訓からか、香川県農業試験場病害虫防除所(リンク)は殺虫剤の効きを調べる「感受性検定」を他県と比較しても熱心に行ってくれているようです。

 

参考文献

尾崎幸三郎『虫のこと むしに聞く(水稲害虫の薬剤抵抗性)』←私家版ですが、県立図書館の郷土資料に所蔵されています。

小山重郎『害虫はなぜ生まれたのか 農薬以前から有機農業まで』(東海大学出版会)

石倉秀次『誘蛾灯史』『薬剤による螟虫の防除』(日本植物防疫協会植物防疫資料館資料)

 

農薬については制度や登録内容が頻繁に変わるので本で勉強するには不向きな分野ですが、最新の内容を平易に記述してくれている

農文協編『今さら聞けない農薬の話きほんのき』(6158 ノ) ※

は現時点でのおすすめです。ただ、来年からまた制度が変わって環境や作業者の安全に対する規制が厳しくなります。最新の資料で勉強したい場合は日本植物防疫協会が毎年発行している『農薬概説』がもっとも確実です。

は町立図書館所蔵です。

カメムシは「椿象」と書くんですね。字面からは、甘くかぐわしい香りを放つ虫のようなんですがね…。

ちなみに、英語では ‟stink bug” と言い、「臭いムシ」という、そのまんまな呼び方をするようです。

豊嶋さん、今回もありがとうございました。

 

 

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かりまいちゃんのクリスマス🎄

もうすぐクリスマス。

ケーキにごちそう、プレゼント…、そして家族や友達とのあったかい時間💛

クリスマスは楽しいことがいっぱいですね。

かりまいちゃんのクリスマスは、いったいどんな感じでしょうか?

動画でお楽しみ下さい。

 

↓↓↓↓↓↓  動画の閲覧はこちらから

 

みなさんも、ステキな時間をお過ごしください。

Happy  Christmas!!

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第5回 ブログ版 郷土史講座「満濃池シリーズ4:紙芝居編」

今回の郷土史講座は、少し趣向を変えて「紙芝居」でお送りします。

満濃池の伝説が、講師の片岡さんによる味わい深い絵とともに、素敵な紙芝居になりました。

本邦初公開でございます。

どうぞお楽しみください。

 

第5回ブログ版 「郷土史講座」 ~満濃池シリ-ズ / 紙芝居編~

<満濃池の龍神伝説>

満濃池の龍神伝説は、『今昔物語集』の中の「龍王、天狗のために取られたる物語」に収められているお話です。(本文は讃岐弁です。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花梨さん:『今昔物語集』って、いつ頃、書かれたものなの?

太郎くん:平安時代の末期に書かれた説話集だよ。

花梨さん:この絵は現在の満濃池の堤から見た風景でしょ?

太郎くん:そうだよ。でもこれから物語は平安時代に入っていくので、絵もできるだけその時代に合わせて描かれているよ。

花梨さん:龍は満濃池のどこに住んでいたの?

太郎くん:絵の左の蛇谷と言われている所だよ。現在はここに「八大龍王」の祠が祀られているよ。

花梨さん:でも、なぜ満濃池に龍が住んでいたの?

太郎くん:地元の方の話によると、ここに棲む龍は志度寺から導かれて来たそうだ。志度寺の『當願暮當の縁起』に次のように記されている。その昔、當願と暮當という猟師をしている二人の兄弟がおり、兄の當願は三宝に帰することもなく、弟の暮當を妬んで、ある時首から下が蛇になってしまったそうだ。そこで、兄は弟に、「當国萬農の池にいれたまわれ」と願い、満濃池に入れてもらったという話だよ。でも、一説では、龍はもともと満濃池に棲んでいたと云われているよ。

花梨さん:そしたら、龍と蛇の関係はどうなっているの?

太郎くん:人々は、稲作の始まりとともに、蛇を生命・豊穣の象徴として畏敬の念を抱いてきた。そこへ、龍がインド(仏教)・中国(皇帝のシンボル)を経て日本へ入ってくると、蛇が龍へと神格化したのではないかな?そして、日本には「主・ぬし」という考え方があり、古来より山や川、池、渕、泉などには「ぬし」がおり、そこを守ってくれるという。

だから、雨の少ない讃岐、満濃池に龍が住んでいたということになったのではないかな。

天長元年(824)、空海が京都の神泉苑で行った「雨乞祈祷」の時も「善如(女)竜王」が出てくるよ。

花梨さん:ところで、絵の右手の九十九谷(つくもだに)の所にある井の印は何なの?

太郎くん:よく気づいたね。あれは、「天真名井(あまのまない)」と言って、出水(湧き水)があったそうだ。きっと、生活水や稲作に利用したのだろうね。

 

花梨さん:比良山のある琵琶湖は、当時何という国にあったの?

太郎くん:近江国(おうみのくに)といって、現在の滋賀県だよ。比良山はその琵琶湖の左(西側)にあるよ。

花梨さん:地図があると、讃岐国と近江国がどこにあるかよくわかるわね。どれくらい離れているのかしら?

太郎くん:地図帳で測ってみると、直線距離で約250kmだったよ。

太郎くん:そしたら、地図の中の緑の濃い所や黄土色の所はどんな所か分かる?

花梨さん:もちろんよ、学校で習ったわ。香川県の所が讃岐山脈で、四国地方の所が四国山地、中国地方の所が中国山地、紀伊半島の所が紀伊山地、そして黄土色の所が市街地よね。

 

花梨さん:御住職(ごじゅうしょく)はどこの寺のお坊さんなの?

太郎くん:比叡山延暦寺東塔の僧だよ。当時の高僧はみな比叡山延暦寺で修行していたらしいよ。もちろん、空海も高野山金剛峰寺を開く前は、ここで勉強したようだ。

花梨さん:龍神様は、お坊さんがつれて来られて、しかも水瓶を持っていたので、さぞかし嬉しかったでしょうね。

太郎くん:龍神様は「もし、一滴の水があるなら、あなたを必ずもとの住まいにお連れします」と言ったそうだ。そして、僧は喜んで水瓶を傾けて龍に水を与えたそうだ。

太郎くん:龍は喜んで僧にこう言ったそうだ。「けっしてこわがらずに目をつぶってわたしにおぶさってください。あなたのご恩は一生涯忘れません」と。

 

花梨さん:まさに、命の水ね!

太郎くん:生き物はすべて水がなかったら生きていけないものね。水の大切さを感じるね。

 

花梨さん:天狗は荒法師(乱暴な僧)の姿に化けていたのね。悪いことをしていたら必ずばち(罰)があたると、おばあちゃんが言っていたわ。

太郎くん:このあと、僧は龍の恩に報いようと、経を唱え、善根功徳(ぜんこんくどく)の行を修め続けたそうだ。

龍先生:まことに、龍は僧のおかげで命を全うし元の満濃池に帰ることができ、僧は龍の力により比叡山に帰ることができたのですね。めでたし、めでたし。日照りの多い水不足に悩まされてきた讃岐の農民は、龍が天高く舞い上がり(昇り竜)、雲を呼び起こし、雨をもたらす水乞い・雨乞い(竜神信仰)の象徴だったのでしょうね。伝説とはいえ、現代でも教えられることがたくさんありましたね。

 

※脚本はまんのう町の「かりん会館」に所蔵されていたものを使用させていただき、画は筆者が作成しました。

尚、『今昔物語集』は『新編日本古典文学全集35巻』「今昔物語集巻第14」、「竜王為天狗被取語第十一」馬淵和夫・国文麿・稲垣泰一校注者、小学館を参照させていただきました。)

こちらの紙芝居は、12月25日㈮~27日㈰の3日間、中讃ケーブルテレビの『まんのうまんテン通信』でもお楽しみ頂けます。

時間は各日、8時45分~18時45分~の2回です。

アナウンサーの中山百合子さんによる素晴らしい語りと、本講座の講師・片岡孝暢さんの解説で、より物語の世界観が広がって見えてくると思います。

お楽しみに♪

片岡さん、ありがとうございました。

 

 

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第4回 ブログ版 郷土史講座「満濃池シリーズ3」

師走に入り、季節はすっかり冬になりましたね。

遠くへ“Go To”できない方も、近場で散策や史跡巡りなどを楽しんでみてはいかがでしょう。

本日も、そんな「ちょい旅」にぴったりな、郷土史講座のお時間です (^_-)-☆

講師はお馴染み、片岡孝暢さんです。

 

第4回ブログ版 「郷土史講座」 ~満濃池シリ-ズ3~

 

<満濃池の主な歴史年表を見ての探究学習>

今回は、太郎くんと花子さんが協力して、満濃池の主な歴史(江戸時代初期まで)を年表にしました。下の年表がそれです。

 

◇ この作成した年表を見て、二人が対話・問答を行いました。

花子さん:701年って、何時代、国では政治面で、どんなことが起きた年なの?

太郎くん:奈良時代の前の白鳳時代かな、その年は大宝律令が制定された年だったと、     中学校の歴史の教科書に書いてあったよ。

花子さん:そしたら、国守(こくしゅ)ってどういう意味?

太郎くん:朝廷から地方へ派遣され、その地を治めた国司(官吏、役人)の長官のこと     だよ。今でいうなら、知事さんみたいな役職の人かな?

花子さん:道守朝臣はどういう方なの?

太郎くん:『日本書紀』のなかに、天武天皇13年(684)、道守臣(ちもりのおみ)が朝臣(あそみ)の姓を賜ったと記されており、『古事記』のなかには、建内の宿禰(たけのうちのすくね/武内宿禰)が大陸から渡来した人びとを率いてため池を作ったと記されている。だから、この頃ため池築造の技術もあったと思うし、建内の宿禰と道守朝臣との間に、池の築造に関して何らかの関係があったのかもしれないね?また、この時、この地域の豪族であった御村別の子孫(伊予から移住)か、もしくは矢原氏の先祖がこの池の築造にかかわっていたかもしれないね。

どちらにしても、讃岐国の国司の史料上の確実な初見は『続日本紀』「和同元年(708)」に出てくる大伴宿禰道足なので、「満濃池後碑文」の記録だけでは、道守朝臣を国司と認めることは難しいそうだよ。(『日本書紀』「天武天皇下」、『古事記』「応神天皇」『続日本紀』「元明天皇」の各項を参照)

 

花子さん:満濃池ができる前は、ここはどうなっていたのかな? 人が住んでいたの?

太郎くん:縄文時代や弥生時代、古墳時代、人々がここで暮らしていたと思うよ。南側の多くの湾が入り組んでいるあたりは砂層で、湧水(天真名井)があり、その水や谷水、金倉川の水を使って、稲作が行われていた。もともと金倉川が浸食してできた広い谷の、狭い断崖に堤防を築いてできたのが満濃池だから。

太郎くん:だから、縄文期の石器や弥生期の土師器、古墳中期以降の須恵器、またサヌカイト片も発見されているし、窯跡(写真①)や古墳跡(写真②)も見つかったらしいよ。(案内板:満濃町教育員会、『満濃池名勝調査報告書』を参照)

(写真① 神野1号窯跡・本人撮影)

(写真② 神野箱式石棺・本人撮影)

 

花子さん:そしたら、どうしてここに大きな池を作る必要があったの?

太郎くん:それは、讃岐国の丸亀平野の条里制の整備とともに、水田への多量の水が必要だったと思うよ。池の水を引くかんがい工事が大変だけど、満濃池の場合は金倉川を用水路としてうまく利用したのだろうね。

花子さん:この頃、讃岐国以外でも、ため池の築造やかんがい工事をしていたのかな?

太郎くん朝廷は、班田収受法を定め公地公民制を確立し、各国に国司を派遣し、「国々の堤を築くべき所、水路を掘るべき所、開墾すべき所は公平に与えて工事させよ」と命令を下していたようだ。(現代語訳『日本書紀』「孝徳天皇」の項を引用)

 花子さん:この年表中でも、洪水で堤防が3回も決壊しているわね。

太郎くん:そうだね。丈夫な堤防を造るのは難しいということだね。池は農業用水を確保するという役割だけでなく、洪水を防ぐ治水という意味もあるのだね。

 花子さん:ところで、満濃池を再築した空海さんは、どんなところがすごいの?

太郎くん:空海は中国(唐)で仏教を学ぶだけでなく、土木工事にも精通していたそうだよ。また、多くの百姓たちから慕われており、空海のためなら力を惜しむことなく共に働いてくれるという信頼があったみたいだね。そして、堤防造りにおいてが3つの優れた点があったといわれているよ。まず、堤の内側を水圧防止のために弧(ア-チ状)を描いて造ったこと、次に洪水時の堤防の決壊を防ぐ目的で、岩盤を削り(余水吐)を設けたこと、最後に護岸を強固にするために柵(水たたき)を設けたということ、だそうだよ。(『満濃池史』を引用)

花子さん:なるほど。今の堤防築造の方法や工夫点と基本的には同じね。あの時代、すでに考えていたとはすごいわ。

 

花子さん:弘仁12年、空海さんが矢原邸(跡/写真③)に来た時、花梨(写真④矢原邸の森)を持参したそうだけど、太郎くんはなぜ「かりん」だったと思う?

 

太郎くん:「かりん」は今でも喉飴に使用しているけど、たぶん薬用のためだと思うよ。中国の栽培地域と気候風土が合っていたのもよかったと思うね。現在は、町木にもなっているね。

花子さん:空海さん(写真⑤)が護摩壇岩(写真⑥)で、護摩を焚いて祈願をしたそうだけど、何を祈願したのかな?

 

太郎くん:護摩を焚き修法を行ったようだ。護岸工事の安全祈願をしたようだけど、僕は雨乞い祈願もしたのではないのかなと思っているよ。満濃池には竜神伝説(『今昔物語』)があるけど、僕は池に棲む竜を水の底から呼び起こし、「昇り竜」のごとく天に立ち登らせ、天の神と交わらせ、雨を降らせる(降り竜)陰陽合体の修法ではないかと考えているよ。

花子さん:そう言えば、綾子踊を見たとき、「昇竜と降竜」や「善女龍王」ののぼりが立っていたわね。

太郎くん:踊(昇竜、降竜)には、雨乞いに対する祈願と感謝の意味もあると思うよ。また、天長元年(824)、弘法大師が京都の神泉苑で請雨経法を行ったとき、「善如(女)竜王」が現れ、この修法によって効験あるだろうと示された、と『今昔物語』に記されているよ。

花子さん:1184年に堤防が決壊してから、どうして450年もの間放置されていたの?

太郎くん:予想だけど、満濃池の水掛かりは広範囲にわたっており、鎌倉時代や室町時代は、江戸幕府のように地方の組織がまだまだ不十分で、南北朝の動乱期や戦国時代は、讃岐武士も戦に参戦し、それどころではなかったのではないかな?

花子さん:1628年、西嶋八兵衛さんが再築したとき、池内村の人々はどうなったの?

太郎くん:そうだね。家屋や水田は水に埋まってしまい池内では居られないから、どこかへ立ちのきになったと思うよ。

花子さん:どのあたりに移ったのかしら?何か補償でもしてくれたのかしら?

太郎くん:難しい質問だね。次回までに、西嶋八兵衛のことと合わせてお互いに調べてみよう!

 

参考資料

※上記①~④の資料は、まんのう町立図書館に所蔵されています。また、⑤、⑥の資料は香川県立図書館所蔵なので、町立図書館で借りていただけます。

知れば知るほど、奥が深くなるのが歴史なんですね。

片岡さん、ありがとうございました。

 

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かりまいちゃんのおでかけ♪

先日、スタッフの “梅ちゃん” が県立図書館に研修を受けに行く際、

当館のマスコット・キャラクターの「かりまいちゃん」も一緒に連れて行ってもらいました (^^♪

かりまいちゃんのお出かけ動画をお楽しみください。

 

↓↓↓↓↓   動画の閲覧はこちらから

 

 

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動画配信 はじめました♪♪

秋から冬へと、ゆっくりと季節が移り変わろうとしていますが、皆さんお元気ですか?

今年に入り、“普通” の生活が一変し、何もかもがこれまでとは違った様式に代わっていますよね。

まんのう町立図書館でも、マスクの着用や、館内での滞在時間に制限を設けるなど、利用者の皆様にはご不便をおかけしています。

そんな状況下で、どうにか多くの方たちと「つながり」を広げ、新たな図書館サービスの提供ができないかと様々な取り組みをしてきましたが、ついにこの度、満を持して、

動画配信を始めることになりました!!

ITオンチのスタッフが知恵を絞り、試行錯誤し、すったもんだと悩みながら、ようやく完成した短い動画ですが、おうち時間の合間に楽しんでいただければ幸いです。

 

↓↓↓↓↓↓動画の閲覧はこちらから

 

まだまだヨチヨチ歩きの企画ですが、これからも皆さんに楽しんでいただける動画をお送りしていきますので、よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

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雑誌の自動貸出、できるようになりました!

小春日和を通り越し、全国各地で「夏日」の陽気ですが、寒暖差で体調を崩したりしないように、気をつけたいですね。

11月16日㈪~11月19日㈭の4日間、町立図書館では年に一度の蔵書点検のため、お休みをいただいておりました。

蔵書点検とは、お店などで行う「棚卸し」のことです。

現在、65,000冊以上ある蔵書のバーコードを、1冊1冊読んでいくという、気の遠くなるような作業を行います。

勿論スタッフ総出の大仕事です。

4日間ですべての本の総点検をし、20日㈮からの開館に向け、棚を整え、お掃除をし、展示を入れ替え…。

ちょっとした模様替えもしましたよ。

そして、大きく変化したことが!!

11月20日㈮より、雑誌が自動貸出機で借りられるようになります ♪

これまで雑誌は、カウンター内でスタッフが貸出操作をしておりましたが、この度、雑誌も装備され、他の本と一緒に自動貸出機で読み取れるようになりました。

 

ひと手間省けたことで、より貸出が便利に簡単にできるようになりました。

 

クリスマスコーナーも始まりましたので、ご来館の際は是非足を止めてご覧になって下さい。

では、皆さまのご来館をお待ちしています。

 

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第7回 ブログ版 農業講座「まんのう町は暖地? それとも温暖地?」

すっかり秋も深まり、厚手の服や暖房器具が必需品となってきましたね。

家庭菜園をされているみなさんの畑も、おでんや鍋の具材になる野菜がぐんぐん大きくなっている頃ではないでしょうか。

天気のいい日には、畑仕事で体を動かすと気持ちがいいでしょうね。

では、本日も農業講座始まります。

講師はまんのう町在住の農業の達人、豊嶋和人さんです。

【まんのう町は暖地? それとも温暖地?】

11月に入り、だいぶ冬の気配がしはじめましたね。去年一昨年と二年連続の暖冬でしたが、今年の冬はどうでしょうか。ラニーニャ現象で寒くなるという話もあります。一昨年の暖冬はラニーニャ現象の反対のエルニーニョ現象でした。

暖冬だと冬野菜は豊作になります。葉物野菜の葉はぐんぐん大きく育ち、ほうれん草や小松菜などの軟弱野菜は播種から収穫までのサイクルが早くなります。葉が巻く結球野菜もサイズが大きくなりますから、同じだけ苗が植えられていても、市場に供給される量が増えます。ブロッコリーのような蕾を食べる野菜も同様です。寒さが厳しい冬だとその逆です。さて今年はどちらでしょうか。

ところで、園芸の世界で使われる気候区分はおおむね以下のようになっています(図1)

(図1)

 

「おおむね」と書いたのは厳密にきまっているわけではなくて、わりといろいろな表記が見られるからです。温暖地と暖地の境を14℃とする例もあります。上の表以外にもときどき見られるのが「西南暖地」という表現です。農林水産省の文書にもでてくる表現で、普通は高知県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県のことを指すようです。野菜や花の種の袋にもいろいろな表現がされています。

 

(写真① 白菜の種袋:本人撮影)

 

(写真② バジルの種袋:本人撮影)

 

住む地域がどの気候区分にあたるか、かんたんな地図を載せてくれているメーカーもあるのですが、香川県はメーカーによって暖地だったり温暖地だったりするようです。暖地か温暖地かというのは種の播きどきに大きく影響します。いったいどっちなんでしょうか。また、せまい香川県でも海沿いと山間地域では気温がだいぶ違うはずです。では気象データからまんのう町の気候区分を検討してみましょう。

まずは香川県にある気象庁のアメダスを確認してみましょう。

気象庁|過去の気象データ検索 香川県全地点    👈こちらをクリック

 

各地点にカーソルをのせると、緯度経度や標高のデータがでてきます。まんのう町は滝宮と多度津と財田のアメダスのちょうどまんなかに位置していますね。各アメダスのもう少し詳しい場所はと言いますと、滝宮のアメダスは農業経営高校の敷地内、多度津のアメダスはさぬき浜街道から少し入った海沿いの住宅地の中、財田のアメダスは三豊市財田支所近くの財田川沿いにあります。町東部は滝宮、西部は財田の気象データが参考になりそうです。

うちは町最北部の高篠地区なんですけど、多度津のデータはあんまり参考になりません。というのは多度津のアメダスはあまりにも海に近く、また住宅地の中ということもあって、特に秋から春にかけての夜温が高く出ます。寒い時期の夜温は栽培にとって大変重要です。なぜなら霜や凍結の目安になるからです。

さて、アメダス以外にも気象データを提供してくれているところはあります。うちで参考にしているのは善通寺市にある農研機構西日本農業研究センター四国研究拠点の気象観測データです。善通寺市の街中にある仙遊地区のデータが標高などもうちと近くて参考になります。農業研究施設らしく地温データもあるんですよ。

農研機構 善通寺の気象   👈こちらをクリック

 

これらの気象観測地点の年間平均気温を見れば、まんのう町の気候区分がわかりそうです。現在平年値として使われている1981~2010年の年間平均気温をまとめてみました。(図2)

(図2)

どうやらまんのう町は標高が高いところでなければギリギリ「暖地」に入りそうです。ところで、現在使われている平年値は予定では来年更新されて、1991~2020年の年間平均気温が新しい平年値になります。ここでぜひ上記のリンクから各地の1980年代の気温と2010年代の気温を比較してみてください。明らかに1980年代は今より寒いですね。今ギリギリで「暖地」のまんのう町はその頃「温暖地」だったようです。確かに子供の頃のほうがよく雪が積もりました。身近なデータからも地球温暖化はよくわかります。

とはいえ内陸のまんのう町は冬の夜けっこう冷え込みますよね。霜よけや冬作物の生育促進にビニールトンネルや不織布のべたがけを使うことも多いと思います。海のすぐそばにある多度津のアメダスの夜温がぬくいのは、海の水が陸上の土や岩石よりも冷めにくい性質を持っているからでした。ならば作物の近くに水を置いてやれば昼間の熱を夜にも少しずつ放出してくれるはずです。

(写真③ 早播きオクラのトンネル:本人撮影)

 

暖房の温風を遠くまで送るためのダクトチューブに水を入れて、早播きオクラのトンネルのなかに設置したものです。(写真③) 

熱帯作物のオクラを3月に播くための工夫ですね。小さなスペースですと、2Lのペットボトルでも効果があります。ぜひ試してみてください。

気候の変化に合わせ、農家の方たちは様々な工夫を凝らし、農作物を作られているのですね。

できたものを毎日当たり前のように頂いている私たちは、作ってくれた方に感謝感謝です♡

豊嶋さん、本日もありがとうございました。

 

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アートウィーク 開幕♪

徐々に秋も深まり、朝夕のひんやりした空気に思わず肩を震わせることもありますよね。

食いしん坊さんも、お出掛け好きさんも楽しい季節ですが、

町立図書館では本日より『アートウィーク』が始まりますよ~(^_-)-☆

秋の読書週間に合わせ、本とアートが合体したアート三昧の2週間です。

 

まずは入口のメイン特設です。装幀が素敵な本や、表現する楽しみを味わえる本を紹介しています。

「ジャケ借り」必至の素敵な本がたくさんです。

 

館内3か所に設置したミニ特設も、アートアートアートの三拍子です!!

 

アートウィークですもの、展示も豪華にやってます !(^^)!

「まんのうBookBook応援団」として、町立図書館をサポートしてくださっている皆さんの素敵な作品が、館内に彩りを与えてくれています。

「写遊会 彩」の皆さんの写真展の模様です。

美しい景色や絶妙なアングルで捉えられた人物など、見て楽しむだけでなく、撮影のお手本にもなるような作品ばかりです。

 

ロビーでは「まんのう文学会」の皆さんの、俳句や短歌を展示しています。

短い言葉に込められた日本語の奥深さが、しみじみと伝わってきます。

 

「まんのう町竹細工同好会」の皆さんは、圧巻の作品を見せて下さっていますよ。

 

竹という素材の持つ可能性や、素晴らしいデザイン性、そして本物と見まごうような精緻な作り。

この驚きと感動を、是非 ‟生” で味わってください。

 

参加型のイベントも盛りだくさんですよ。

まずは、ロビーに展示している「みんなの川柳」です。

テーマは「本」。

五七五のリズムに乗せて紡がれる言葉はユーモアや情緒に溢れ、心を豊かにしてくれるような気がします。

11月9日㈬まで受け付けておりますので、素敵な句をお寄せください。

 

もう一つの参加イベントは、「BookBookみんなの手づくりギャラリー」です。

町立図書館にある本を読み、その本のイメージや、そこから得たひらめきなどを作品にし、館内の特設ギャラリーに展示します。

手芸・工作・絵画・彫刻…、手づくりなら何でもOK (^_-)-☆

料理やお菓子の完成写真やデジタルアートなども大歓迎です。

既に多くの作品が寄せられていますよ。

皆さんの作品で、素敵なギャラリーを作りましょう!!

応募締め切りは11月9日㈬です。

アートウィークはまだまだ始ったばかり。

皆さんの手づくり作品をお待ちしています。

 

「みんなの川柳」、「BookBookみんなの手づくりギャラリー」とも、メールやFAXでもご応募頂けます。

 

読書の秋と、芸術の秋を、まとめて楽しめる2週間です。

読んで楽しい、観て楽しい、作ってみたらもっと楽しい!!

秋の ”ど真ん中”を、本とともに ♪

ご来館お待ちしています。

 

 

 

 

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