6月15日(土)に、郷土史講座「借耕牛~阿讃を結ぶ峠を越えて~」を開催しました!
講師は、まんのう町文化財保護協会副会長・四国学院大学講師・佐文綾子踊保存会事務局の池内敏樹さん。ご自身のブログ「瀬戸の島から」で、郷土の歴史に関する膨大な知識を公開してくださっています😲
まんのう町琴南地区の落合橋の欄干のレリーフにもある「借耕牛」は、江戸時代中期から昭和三十年頃まで続き、放牧に適した徳島県と草資源の乏しい香川県との間ので貸し借りされた耕牛のこと。
峠を越える人と牛や、競りの様子は俳句にも歌われ、そこから当時の光景を読み取ることができました。
写真や借用証も残されていて、気になる取り引きのシステムについてもお話ししていただけました。
書類に書かれた昔のお金の価値やお米の量も、現代に換算してくださって分かりやすかったです!
借耕牛はどの峠を越えてやってきたのでしょう?
この写真の地図には、阿波から讃岐に抜ける峠の、牛馬の通行の可否が記されています。
『西讃府志』の牛の飼育頭数の統計から、当時の産物の変化をうかがい知るともできました。数字って奥が深いですね。
また、江戸時代には、他藩への米の輸出が禁じられていたことから、借耕牛は実際は明治からではないか?と池内さん。
江戸時代に高松藩と徳島藩の間に結ばれた協定も教えてくださり、時代背景を根拠にした解説にわくわく。
いろんな史料や統計から、借耕牛とそれに関わった人々の様子が再構築されていく様は、本当に鮮やか!
でも、借耕牛には資料から読み取れるものばかりではなく、暗い側面もあるそう……。
一軒の賃料で複数軒に回し使いされた牛は、帰りの峠を越えられず亡くなってしまうこともあったそうで、その悲鳴が耳について離れないという証言もあるくらい過酷なものだったようです。
今も、各地に「牛の墓」が残されているとのことで、この話にはとても心が痛みました。
最後に、池内さんが借耕牛のおすすめ図書を紹介してくださいました📖
『あわ/さぬき 借耕牛探訪記』冨田紀久子 著 美巧社
借耕牛の時代を生きた人々の貴重な証言を読むことができるこちらの本。
図書館で借りることができます!
ぜひ手に取ってみてください。
また、借耕牛が映画になっているそうです!!😲
四国各地でロケが行われた「黒の牛」。
一般上映はまだ行われていませんが、ぜひ観たいですね!
今回は、史料から根拠を示しながら、貴重なお話をうかがうことができ、参加者の皆様からも大好評をいただけました。
池内さん、本当にありがとうございました。
さて、次回の郷土史講座は「綾子踊~ユネスコ無形文化遺産~」
7月27日(土)10:30~12:00の開催です♪
定員20名、予約制となっております。
引き続き、池内さんが講師を担当してくださいますよ!
ご予約は、図書館カウンター、もしくはお電話で受け付けております。
小学生、中学生の方のご参加も大歓迎! ぜひお越しください🌟