第15回 ブログ版農業講座「益虫を上手に利用した夏野菜」

 

暑くなってきましたね~こんな日は、きゅうりやトマトをいっぱい乗せて冷やし中華なんかを食べたくなりますね♪

きょうは、4月28日に中止となった農業講座「益虫を上手に利用した夏野菜」をブログ版としてお届けします。写真いっぱい、虫が苦手な人はちょっとだけ【閲覧注意】です!笑

豊嶋和人さん、よろしくお願いします!

 

【益虫を上手に利用した夏野菜】

春の農業講座でやるはずでした内容をブログ版に再構成してお届けします。今までのブログ版農業講座と重なる内容もありますけどご了承くださいね。

トマトになすびにピーマン、カボチャ。キュウリにスイカにオクラ。忘れちゃいけない甘〜いとうもろこしや枝豆…みなさん、夏野菜は植え終わりましたか。最近はホームセンターなどでわりと遅くまで苗を売ってますので、良苗があれば今からでも夏に向けて家庭菜園や少量多品目の菜園を楽しめますね。

春から夏にかけては気温が上がりますので害虫の勢いも増します。アブラムシからはじまって、アザミウマ、オオタバコガ、ハスモンヨトウときて、秋口に少し涼しくなってくるとまたアブラムシが帰ってきます。

夏野菜の苗についたアブラムシをテントウムシが食べているのを見つけると頼もしく思えますね。でも、テントウムシがやってきた頃にはアブラムシが大増殖してすでに葉がいじけてしまっていたなんてことのほうが多いんじゃないかと思います。ではあらかじめテントウムシなどの天敵昆虫に待ち伏せをしてもらいましょう…というのが今回のテーマです。

どこで待ち伏せしてもらいましょうか。餌となる害虫がまだ発生していない作物の葉の上で待っといてつかよと言ってもお腹が減るだけなので待ってはくれません。作物のそばに天敵の居場所を作る必要があります。居場所に必要な条件はそこに餌かねぐら(隠れ場所)もしくはその両方があることです。かといって巣箱のようなものや人工の餌を用意する必要はありません。居心地の良い、ただし作物の害虫を増やさない植物を作物のそばに用意すればいいのです。

そういう植物のことをコンパニオンプランツ、あるいはバンカープランツ、インセクタリープランツなどと言ったりしますが、それぞれ微妙に定義が違う上にややこしいのでここでは3つの分類にまとめてしまいましょう。それは

A「それ自体が天敵昆虫の餌となる植物」

B「天敵昆虫の餌となる虫を集める植物」

C「天敵昆虫の隠れ場所を提供する植物」

です。

 

Aから見てみましょう。天敵昆虫って害虫を餌とするから天敵昆虫って言うんじゃないの?と思われるかもしれません。ところが植物も虫も食べる雑食の虫がいるんです。それに、アオムシとモンシロチョウを思い出してもらえればわかりやすいと思うのですが、幼虫と成虫で食べ物が変わる虫もたくさんいます。雑食カメムシのヒメハナカメムシは花粉も食べますが、アザミウマなどの微小昆虫も食べます。ヒラタアブは成虫は花粉を食べるハナアブですが、幼虫はアブラムシを食べます。植物性の餌「も」食べる天敵昆虫の居場所となるのがAです。

Bはアブラムシの天敵昆虫にいてほしいときに、守りたい作物にはつかないアブラムシに寄生される植物を生やしておくと、その植物上で天敵昆虫が増えてくれるというものです。アブラムシにはたくさんの種類がいますが、特定の科の植物の汁しか吸えないアブラムシもいます。イネ科ならば、ムギクビレアブラムシ、ヒエノアブラムシ、トウモロコシアブラムシといった連中です。マメ科ならソラマメには必ずといっていいほど現れるソラマメヒゲナガアブラムシやマメアブラムシです。一方で夏の果菜類など多くの野菜の汁を吸うモモアカアブラムシやワタアブラムシはマメ科やイネ科の汁を吸うことは稀です。

よく畑の枕の肥料分の少ない場所にカラスノエンドウが生えることがありますが、カラスノエンドウにつくソラマメヒゲナガアブラムシやマメアブラムシをめがけてテントウムシなどのアブラムシの天敵がやってきます。そういう畑のカラスノエンドウは邪魔にならないならそのままにしておいて夏野菜を植えると、カラスノエンドウ上で増えたテントウムシが夏野菜も守ってくれるというわけです。ただし、ソラマメにはカラスノエンドウで増えたマメ科につくアブラムシが飛来しますからソラマメの近くではカラスノエンドウは除去したほうがよいでしょう。

Cは低い背丈で地面を被覆するような植物です。身近に生えているクローバー、園芸店で売られているバーべナやイワダレソウのようなグランドカバー植物、あるいは春播きすると穂を出す前に枯れる大麦などもそうです。これらは雑草を抑える力も強くて便利です。そんな植物に覆われた場所には、アザミウマやハダニを食べるカブリダニ、イモムシを食べるコモリグモやゴミムシ、ハサミムシなどの甲虫類が増えます。

ちょっと表にまとめてみましょう。

A「それ自体が天敵昆虫の餌となる植物」

植物 集まる天敵 天敵が捕食する虫
ゴマ、クレオメ タバコカスミカメ アザミウマ、コナジラミなど
オクラ、アリッサム、バジル、マリーゴールド ヒメハナカメムシ アザミウマ、アブラムシなど
ソバ、キンセンカ、菜の花などお花(花が多いほどよい) ヒラタアブ(成虫) アブラムシ

B「天敵昆虫の餌となる虫を集める植物」

植物 集まる天敵 天敵が捕食する虫
ムギ、ソルガムなどイネ科の草 テントウムシ、ヒラタアブ、クサカゲロウ、アブラバチなど アブラムシ
カラスノエンドウ、スズメノエンドウなどマメ科の草 同上 同上

C「天敵昆虫の隠れ場所を提供する植物」

植物 集まる天敵 天敵が捕食する虫
春まき大麦小麦、ソバ、クローバー、その他グランドカバー植物 カブリダニ アザミウマ、ハダニ
同上 コモリグモ、ゴミムシ、ハサミムシ等 ハスモンヨトウ、コナガなどのイモムシ

AからCの特徴のうち2つを兼ね備えた植物もいくつかありますね。そしてこれはあくまで例に過ぎません。農家や研究機関の探究によって、これらの表は近年充実の一途をたどっているのです。みなさんもまずは表にあるような定番を試してみて、それならこの草や花はどうだろう、これなら風よけと一石二鳥では、収穫できる作物同士でもできるのでは、と想像をめぐらせ、実際試してみてください。

作物と別に麦なんか播くのめんどくさいという方もいらっしゃるでしょう。実はわたしもそのくちなんですが、お隣が麦畑だとアブラムシの寄生バチが増えてアブラムシが少なくなります。少しはいるんですが、大きくは増えないんですね。アブラバチに寄生されたアブラムシは表皮が金色になります。これがきれいなんですよ。

 

 

いかがでしたか?虫にも、益虫、害虫いろいろあるんですね~

次こそは、対面での農業講座が開催できることを願いつつ…お楽しみに!

 

 

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