第18回ブログ版農業講座「みんなでおこめについて考える会」🌾

1月21日に、今年度最後となる第4回農業講座「みんなでおこめについて考える会」が行われました。

進行は、講師としておなじみの豊嶋和人さん。

当日は参加されたみなさんで、お米作りを始められたきっかけやお米作りにまつわる体験談、または苦労した話などを話し合いました。

はたしてどんな話が飛び出したのでしょうか。
ここからは当日の様子をブログ版農業講座としてお届けします。

それでは豊嶋さん、よろしくお願いします。

 

みんなでおこめについて考える会を開催しました。

今回はわたしも含めてお米を作る人5人が集まりまして、様々な苦労話や肥料、病害虫の技術などについて話し合いました。

 

田植えも稲刈りも機械化された現代のお米づくりでいちばん大変なのは毎日の水管理です。まんのう町平野部を含む丸亀平野の水田はほとんど基盤整備されておらず、用水路に板で堰をして田んぼに水を引き入れるのですが、用水路に常に十分な水量が流れているとは限らず、上流下流の田んぼとの兼ね合いによる様々な苦労が参加者の皆さんから語られました。

また、基盤整備されてパイプライン給水がなされている田んぼでも、維持費が重くのしかかっているそうです。以前、田んぼの給水口のパイプに取り付けてセンサーで自動給水する装置を県の農業試験場で見学したことがありますが、その装置もなかなかのお値段でした。10aの田んぼならお米数年分になるでしょうか。

 

お値段と言えば戦争や原油高、円安など様々な要因で肥料が今とても高いのです。お米づくりに使われる一般的な肥料は2年前から価格が倍になりました。お米の値段は変わらないのに。そこで地域にある資源で使えるものはないかということで、情報を出し合いました。豆腐屋さんが提供してくれるおから堆肥や、し尿汚泥肥料などです。

われわれのトイレから出るうんこやおしっこを再利用するし尿汚泥肥料の話題がニュース番組などでも増えましたが、中讃各市町が共同で運営しているし尿処理施設ではわたしの知るかぎり20年以上前から肥料を販売しています。こんな成分です。

これ、以前は粉状でたいへん臭いがきつかったのですが、数年前にペレットになりまして、扱いやすくなりました。なんといっても1袋15kgが50円というのがいいですね。詳しくは下記まで。

有機肥料「ハイクリーンかがわ」 | 中讃広域行政事務組合

https://www.chusan.or.jp/shisetsu/seto/highclean_kagawa.html

 

稲の後作にレンゲを作付すると、レンゲはマメ科ですから根に共生する根粒菌が空中窒素を固定して土を肥やしてくれます。そのぶん肥料が要らなくなるというわけです。ですが、レンゲは種子代の高騰やレンゲを食べる侵入害虫アルファルファタコゾウムシの蔓延で以前より作りにくくなりました。そこでなにか代わりのマメ科植物はないかと探していたのですが、今年はペルシアンクローバーという、かなり草丈の大きなクローバーを試しています。

たぶんこのペルシアンクローバーにもアルファルファタコゾウムシはやってくるのでしょうけれども、1月でこの草勢ですからちょっとやそっと食べられても問題ないんじゃないかと期待しています。アルファルファタコゾウムシ(幼虫)はこんな虫です。↓

 

お米をとりまくあれこれは厳しいことが多いですが、皆さんなにかと工夫しながら毎年お米を作っています。来年度の農業講座では新米が出回るころに、「お米農家に聞いてみよう」の回を予定しています。今度は食べるみなさんもふるってご参加ください。

 

以下は当日会場に並べてもらった書籍です。

・お米の歴史

西尾敏彦 『農業技術を創った人たち』(6101 ニ)

佐藤洋一郎『米の日本史』(6162 サ)

小川真如 『日本のコメ問題』(6113 オ)

・お米と世界

稲垣栄洋『イネという不思議な植物』(6162 イ)

宮本一夫『農耕の起源を探る』(6121 ミ)

・お米をつくる

農山漁村文化協会 編『よくわかるイネの生理と栽培』(6162 ノ)

森田敏『イネの高温障害と対策』(6162 モ)

松村正哉『ウンカ防除ハンドブック』(6162 マ)

 

あと、し尿汚泥肥料が話題になりましたけれども、その歴史についてはこちらの本が大変詳しいです。

湯澤規子『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』(4913 ユ)

 

それぞれ色々なお悩みや苦労を抱えつつ、それでも米作りに前向きに取り組む姿勢を感じました。

進行の豊嶋さんからは、ネガティブなことだけでなく、例えば田んぼや畑で暮らす虫や野鳥を観察するなど、農作業を行いながら何か楽しみを見つけることで、農業・園芸を楽しむきっかけになりますよ、と話してくださいました。

立春も過ぎ、春が近づいている今、ぜひみなさんも楽しみを見つけてみてくださいね。

さて来年度ですが、第一回目を4月に行う予定です。

詳しい日程が決まり次第図書館のホームページや告知放送、館内の掲示にてお知らせいたしますので、しばらくお待ちくださいね。

みなさまのご参加、お待ちしております。

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