第26回ブログ版農業講座「春夏野菜の土づくり」

最近寒い日が続いております。こういう寒い日はお鍋が恋しくなりますよね。
しかし、野菜の値段の高騰でなかなか買いたくても買えないのは私だけでしょうか…
まずはかんたんな野菜から作ってみるのもいいですよね。
手塩にかけた野菜を食べると格別に美味しく感じるはずです!

今年度最後の農業講座が1月27日に行われました。
今回のテーマは「春夏野菜の土づくり」。
講師は、図書館で「まんのう町の達人」としてご登録いただいている豊嶋和人さん。
土づくりに役立つ麦やソバなどの種を持ってきてくださいました。
参加者のみなさまもご自身で野菜や花、果物を作っている方が多く、真剣な面持ちで講座を聞かれている印象でした。

さて、ここからはブログ版農業講座をお届けします。
それでは豊嶋さん、よろしくお願いします。

農業講座「春夏野菜の土づくり」にお集まりいただきありがとうございました。

今回は秋冬野菜の復習というところからはじめました。その理由は2点あります。1つは年々、暑さや雨の降る降らないが極端さを増してこれまでの暦が通用しなくなっていますから、その都度振り返るのがこれまで以上に重要であろうということです。

この秋はまずは大変な暑さ、それに伴うイモムシの大発生からスタートしましたね。発芽や定植直後の苗をすべて食べられてしまうという例も多くみられ、かくいうわたしも20年近くブロッコリーを栽培していてはじめて1枚の畑をひとつ残らず虫に食べられるという経験をしました。

そうして11月くらいから野菜が高くなったのですが、その高値は今も続いています。年末以降の葉物野菜の高値は干ばつによるものです。気温は西日本は平年並み、東日本は平年より暖かいのですが、雨がありません。特にキャベツやハクサイ、ブロッコリーの主産地である愛知県、千葉県、茨城県ではこの冬の雨量が平年の2~3割というところが多いんです。香川県は7割くらいとまだマシなほうです。

まんのう町でも栽培が盛んなブロッコリーには品薄の理由がもうひとつあります。それはブロッコリーが花の蕾を食べる野菜であるところからくる理由です。ブロッコリーが蕾のもとになる花芽をつけるにはある程度株が大きくなってから低温に一定期間遭遇する必要があります。ところが10月に入っても暑かったため、必要な低温をなかなか得られず、花芽ができるのが遅くなってしまったのです。そうこうしているうちに低温乾燥期に入ってしまい、この影響は1月以降も続いています。

ブロッコリーとともに町内でこの時期よくみかけるのは「なばな」です。なばなも蕾を食べますが、なばなの花芽のできる時期というのは、ブロッコリーとちがって種をまいたときに決まっています。なので干ばつなどで株がスムーズに大きくならないと収穫量がおおきく減ってしまうのです。

秋冬野菜の復習が必要な理由の2点目は秋冬野菜もそのあとの春夏野菜も同じ土を使うという点です。秋冬野菜の出来やその年の雨量から、土に残った肥料分をざっくりと見積もることができます。雨は少なかったですから残った肥料分は例年より多いでしょう。
そして収穫あとにキャベツやブロッコリーの外葉には施した肥料分が当然含まれていますからなるべく土に返して春夏野菜の肥しにしてしまいましょう。ただ、長く土のなかで生きる病気の菌だけは残さないことがポイントです。

さてさて、春夏野菜といえば、5月以降の暑さがたいへんです。そのあたりのお話も少ししたのですが、来年度の7月の講座ではもっともっと暑さ対策について掘り下げてみようと思っていますので、よかったらご参加ください。

それでは当日紹介した図書館の蔵書です。

藤目幸擴 『ブロッコリー・カリフラワーの作業便利帳』(6266 フ)
農文協編 『農家が教えるマルチ&トンネル』(626 ノ)

土づくりの本。上から下に向かって、内容が高度になります。
加藤哲郎『いちばんよくわかる超図解土と肥料入門』 6135 カ
藤原俊六郎『図解土壌の基礎知識』 6135 フ
村上圭一『鶏糞を使いこなす』 6134 ム
松中照夫『土は土である』  6135 マ
日本土壌協会編『土づくりと作物生産』 6135 ニ
猪股敏郎『図解でわかる 品目・栽培特性を活かす土壌と施肥6135イ
松中照夫『土壌学の基礎』6135 マ
品目別の栽培法について詳しく→ 川城英夫編 『新野菜つくりの実際2版』 全7冊

豊嶋さんありがとうございました。

農業に関するご質問は図書館内の質問用紙やメールでも受け付けております。
豊嶋さんがご回答くださいますので「農業講座で聞きたかったけど時間が…」「この質問をしたかったけど忘れていたな」「聞きそびれたのでもう一度聞きたい」など、農業に関する質問があればぜひご利用ください。

次年度の日程は
①4月17日(木)「花・切り花について」
②7月17日(木)「野菜の暑さ対策」
③10月16日(木)「ゼロから始める野菜づくり」
④1月22日(木)「春夏野菜の備えて」
の日程で予定しております。
年間でのお申し込みも現在受付中!
募集告知は図書館内の掲示物やFacebook、告知放送で行います。

まんのう町立図書館スタッフ一同、みなさまのご参加をお待ちしております。

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